エンジンにはマフラーと呼ばれる排気管が取り付けてある。マフラーは、エンジン内で爆発させた燃焼ガスを冷まし、消音し、更にエンジン性能の特徴をコントロールするという役割がある。マフラーは大きく分けて、エンジンの排気ポートに取り付けられたフランジ部分からサイレンサーとの結合部までの「エギゾーストパイプ(通称エキパイ)」と、サイレンサー(消音器)とに分けられる。エギゾーストパイプ部分は鉄・ステンレス・チタンなどの金属パイプを曲げて造られていて、エンジンの気筒数やレイアウト(V型や直列など)によって大きく形状が異なる。また、各気筒の長さを揃えたり、各気筒からのパイプをどのように集合させるか、によってエンジンの出力特性さえも変わってくる。例えば、直列4気筒エンジンの場合、エンジンから4本出てきたエキパイを、一旦左右の2気筒ずつで集合させ、その後に1本にまとめる4in2in1と呼ばれる集合方法は、低回転でのトルクアップが期待できる。一方で、4本を1本にまとめる4in1方式は、高回転での抜けの良さから最高出力アップや吹け上がりの鋭さが期待できる。
サイレンサーはエキパイを通った排気ガスを、広い容積の膨張室で減速させ、膨張室内に設けられた隔壁や、グラスウール(ガラス繊維製の綿)によって消音するための部品である。サイレンサーは、アルミ、ステンレス、チタン、カーボン等で見た目や軽さが異なる。カーボンのサイレンサーは、内部はアルミ製の筒で外側にカーボンを貼ってある場合が多い。一般的にチタンが最も高価で虹色の焼け色を意図的に付けてあるものが多い。
昔はマフラーメーカーは数えきれないほど存在していたが、排ガス規制と音量規制が厳しくなっている2026年現在、純正マフラーを上回る出力を出しつつ各規制をクリアすることが難しく、古くからマフラー開発を行ってきた技術力のある企業が数社生き残っている程度まで淘汰された。実際に、マフラーを交換する機能的な利点は、ほぼ軽量化であると言っても過言ではない。出力アップを目的にマフラーを替えても、ピークパワーがほんの数馬力上がる程度で、その領域で走り続け出力アップの恩恵を受けられるのはレーサーくらいだ。さらに言えば、昨今は、純正マフラーは極めて静かであるべきという自主規制が見直され、ノーマルマフラーでも良い音を楽しめる車種が増えてきた。それでもマフラーを交換する人が多いのは、見た目の向上と、より迫力のある音を得るためであり、バイクに乗る醍醐味を大きく向上させてくれるパーツである。