ブレーキレバーと締結されブレーキフルードを押し出すパーツ。主に3形状に分かれる。
- 横型(2010年頃より前の車両は、純正だとほぼこのタイプが装着されている。車体進行方向に対して横方向にピストンが押される。ニッシン等の社外品はブレーキフルードを溜めておくタンクが別体であるが、見た目の違いだけで性能差は無い。)
- ラジアルマスター(縦型、車体に対して前から後ろ方向にピストンが押される。横型よりリニアなコントロール性を持ち、スポーツバイクには純正でも採用されている。)
- セミラジアル(ラジアルと横型の中間、斜めにピストンが押される。ラジアルにしたいが、カウルやスクリーンにマスターが干渉してしまう場合に使う折衷案。)
ブレーキマスターはテコである。レバーの握る部分が力点、レバーの取り付けボルトが支点、マスターシリンダーのピストンを押す部分が作用点。横型はレバーの入力方向(レバーは車体に対して前から後ろに引く)が、マスターシリンダーのピストンが車体に対して横方向に向いているため、レイアウト上、作用点の移動量が小さくしか取れない。極端に言えば、レバーの動作に対して作用点が動きすぎるのでリニアなブレーキフィーリングになりにくい。
一方で、ラジアルマスターは、レバーとほぼ同方向にピストンが動き、力点と作用点が近いため、ピストンのストローク量を大きく取れるため、よりリニアで繊細なブレーキ操作を可能にしている。
また、マスターシリンダーを交換する際は、ピストンサイズに注意な必要だ。デイトナ社のカタログを見ると、ニッシン製マスターシリンダーのラインナップに複数のサイズがある事がわかる。適合表に各車両のデータが載っているが、もし掲載の無いバイクであれば、実車のマスターシリンダーの裏側を覗いてみると、刻印がある事が多い。
純正部品のマスターが廃番で出ない場合は、同サイズを選べば問題無いが、ブレーキキャリパーを大型化して純正マスターではレバーのストロークが多くなりすぎてしまった場合は、ブレーキフルードの押し出し量を上げるためにマスターのサイズアップが必要になる。大きすぎると今度はレバーのストローク量が極めて少なくなり、一瞬でタイヤがロックする危険なブレーキになる可能性があるので、あらかじめ情報を集めておく必要がある。
また、横型からラジアルマスターへの交換も、同サイズにはならず互換性のあるサイズを選ぶ必要がある。
バイク用品店にいるとよく聞かれるのは、「マスターシリンダーを換えればブレーキが効くようになるか?」という質問。上記の内容からをご理解頂けたら、この問いに答えるのはとても面倒だという事がお分かり頂けると思う。
本当に今、どんなにブレーキレバーを握ってもタイヤがロックしない程度の効力しか無いのであれば、まずブレーキパッドを換えてみる。次にブレーキホース。タイヤがロックするようになったら、次は良いタイヤに換える。さらにサーキットで1秒でも削りたいなら、そこで初めてマスターやキャリパーに手を出す意味が出てくる。